皆様、新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。
弊社は石川県小松市を拠点に小松市、能美市、加賀市を中心に
「全棟気密検査実施 、 断熱性能UA値=0.34W/(㎡・K)以下 、気密性 C値=0.1c㎡/㎡、耐震等級3の住宅」の住宅を設計・施工させて頂いている工務店です。
昨年断熱等級7を超えるモデルハウスを施工させて頂きました。今回はその物件の現場施工がどのように行われたか書かせて頂きます。どうぞ最後まで見て頂ければ幸いです。
断熱地域区分と等級のおさらい
改めて日本には8つの断熱地域区分があります。以下がその詳細です。
冬の環境が厳しい北海道は1~2地域、最も冬でも特に影響を受けにくい沖縄は8地域となっています。
ちなみに石川県小松市は6地域に属しています。以下が等級別の地域区分別の断熱基準になります。
6地域の断熱等級7はUA値0.26W/㎡K以下が必要になります。ちなみに最も厳しい地域である1地域での断熱等級7はUA値0.20W/㎡K以下となります。今回、モデルハウスではなんとUA値0.19W/㎡K。なかなか目にできる数字ではありません。しかし、1地域の断熱等級7を超えるとなると、6地域の小松市ではオーバースペックなのでは?と思われる方もいるかもしれません。実はこれにはしっかりとした意図があります。
本来6地域の水準値は東京になります。その東京で断熱等級7を確保するにはUA値0.26W/㎡K以下にする必要があります。石川県小松市も東京と同じ6地域です。しかし実際、冬の環境は石川県小松市の方がはるかに厳しいことはご承知の通り。従って、UA値を厳しく補正する必要があります。その補正した結果、石川県小松市では断熱等級7(HEAT20 G3)はUA値0.19W/㎡K以下が求められます。この数字的根拠により、モデルハウスを建築するにあたって、UA値0.19W/㎡Kまで高めるまでに至りました。
あくまでもUA値は机の上で算出できる
今回さらに現場工事をするにあたって注意したのは、「数字以上の現場にする」ということです。どういうことかと申しますと、UA値は机の上で算出されます。「床には○○の断熱材、壁には○○の断熱材、天井には…」という風にソフトに記入していけば、その住宅のUA値は計算され割り出されます。ということは、極端なことを言えば万が一現場が手抜きしたり、施工不良があってもそれは数字には反映されないということです。
よくあるのが、施工不良による「熱橋」です。熱橋とは建物内で熱を伝えやすい部分を言い、熱が柱渡しして伝わる現象でヒートブリッジとも呼ばれます。熱橋を放置すると、断熱性能が低下するため、冷暖房の効率が悪くなったり、内部結露が発生する可能性があります。特に断熱等級7以上の高い住宅性能の住宅ではこの熱橋があると、影響が出やすくなるため注意が必要です。それは全体の性能がかなりハイスペックがゆえに、熱橋が悪目立ちしてしまうからです。熱橋となりやすいのが熱が伝わりやすいコンクリート基礎の断熱処理不足や窓周りの細かな断熱処理不足。せっかく、住宅全体の断熱性能は高いのに熱橋があると温度差ができ、住まい手にとって不快感につながってしまいます。日本には断熱等級7の住宅は増えてきてはいますが、実はこの熱橋対策までしっかり行っている住宅はまだまだ少ないと言われています。
モデルハウス基礎断熱仕様詳細
モデルハウスの基礎断熱仕様の詳細が以下です。
【基礎内断熱】
<立ち上がり内部(土台上端まで)>ミラフォーム(JSP製)A種押出法ポリスチレンフォーム保温板3種
熱伝導率0.028(W/mK)100mm+50mm
<内部土間(全面貼り)> ミラフォーム(JSP製)A種押出法ポリスチレンフォーム保温板3種
熱伝導率0.028(W/mK)100mm
弊社の標準仕様は立ち上がり内部は100mm、内部土間(外周から1000mmまで)50mmです。この仕様で床下内部は真冬でも19℃をキープします。床の表面温度は暖房で温められ20℃程度になります。床の表面温度20℃ですと、男性と子供は裸足で過ごせます。ただ、末端冷え性の女性は人によっては靴下1枚履く必要が出てきます。今回モデルハウスでは末端冷え性の女性でも裸足で過ごせるようにという理由で、以上の基礎断熱仕様にしました。
施工詳細
100mmの立ち上がり断熱は基礎と同時打ち込みをします。そうすることで、基礎と断熱材とがしっかり密着してくれます。
その後、外回りはすべての立ち上がり断熱に50mmの断熱材を付加していきます。基礎の厚みとほぼ同じです。
その後、玄関土間箇所はコンクリート打設前に土間に100mmの断熱を敷きこみます。
この際、重要なポイントは玄関扉下にも必ず立ち上がり断熱を敷きこんでおくということです。これを怠ると、仕上がった玄関内の床タイルに外部からの冷気が伝わり、床が冷え熱橋となります。
今回は中基礎の立ち上がりもすべて断熱処理しました。コンクリートは熱伝導率が1.6W/mkと高いため、中基礎とはいえ熱橋になる可能性があるです。中基礎は基本100mm厚、人通口の確保のために50mmの箇所もあります。メンテナンスができなければ本末転倒ですので。
弊社では土台である木部も熱橋だと捉えています。木の熱伝導率は0.2W/mkとコンクリートと比較すると高くはありませんが、断熱材の熱伝導率が「0.0○○W/mk」ということを踏まえると、土台水切木部も熱橋と言えます。従って、土台の高さまで断熱を敷きこみます。
上棟して雨仕舞いを行い、床の湿気が抜けた後、土間の断熱100mmの敷き込みを行います。計算上は立ち上がり基礎の内側から1000mmの箇所までのみUA値としての数字に反映されます。理由は外気に触れてない地面の中は熱損失が少ないからです。しかし、今回1000mmより内側の地面の中も熱橋0ではないと考え、今回土間は全面貼りを行いました。実際は1000mmより内側は数字には反映されていません。それでも「数字以上の現場にする」ために施工に至りました。
このコラムでは熱橋中心で気密には触れていませんが、あらゆる接合部分には外側・内側の2重・3重対策で気密処理を行っております。
まとめ
弊社では断熱・気密施工は外注職人さんでなく、すべて社内施工を行っております。理由は会社として断熱・気密の重要度を高く捉えているからです。責任重大だからこそ社内施工にしています。
昨年末からモデルハウスはオープンされています。年始から気温が急激に冷え込んでいますが、モデルハウス室温は14畳のエアコン1台で部屋全体がものすごく快適です。温度ムラがほぼありません。床下温度は20℃程度で床表面温度は22℃。床暖房なんて全くいりません。玄関タイルは裸足で歩けます。施工に時間は要しましたが、体感すると妥協しなくてよかったと思っています。
そんなモデルハウスをこの極寒の時期に体感してみませんか?必ず得られるものがありますよ^^
本日も最後までお読みくださりありがとうございました。何かプラスになってくだされば幸いです。