パッシブデザインコンペ
2023中部大会
最優秀賞受賞 発表内容
アイラシックホームのパッシブデザイン【スーパーウォール会パッシブコンペ2023中部大会 最優秀賞受賞】

2023年9月29日開催されたスーパーウォール会パッシブデザインコンペ2023年 中部大会において、弊社が手がけさせて頂いた新築物件が最優秀賞を受賞いたしました。

パッシブデザイン(設計)とは、太陽の熱や光,風などの自然エネルギーを生かして快適な暮らしを実現するための設計のことをいいます。この設計はエネルギーの高騰による電気代の値上がりに対する抑制や地球温暖化の原因の一つの二酸化炭素排出の削減などに一翼を担います。

このパッシブデザインの設計や技術を全国の工務店やビルダーが競い合い切磋琢磨する大会がこのパッシブデザインコンペになります。

パッシブデザイン(設計)

以下に発表時の動画と書き起こしたテキストを掲載しました。

弊社のパッシブ設計の詳しい具体例となりますので、参考にしていただければ幸いです。
お時間のある時にご覧ください。

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パッシブデザインコンペ
発表動画

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パッシブデザインコンペ
発表動画 文字起こし

パッシブデザインコンペ資料01
西川電気工事株式会社 アイラシックホーム 西川知範
発表者
西川電気工事株式会社 アイラシックホーム
西川知範

はい。それでは、FITスーパーウォール会、西川電気工事株式会社アイラシックホーム西川知範が発表させていただきます。よろしくお願いいたします。
今回の物件は自宅になります。

パッシブデザインコンペ資料02

建築地域は石川県の小松市です。省エネ基準地域区分は5地域に囲まれた6地域になります。従って弊社では、石川県は全て5地域と捉え、お客様にはUH0.34以下を標準にご提案しております。以下に気候の特徴をいろいろと書いておりますが、まとめますと、暑い寒い、雪が多い、雨が多い、日射が少ない。ということで、かなり厳しい地域というふうになります。

次は、建築の上空写真になります。北面には国道道路、南面には5メーター道路があり、東西に住宅があるという形。家族構成は4人。要望をまとめますと、LDK中心で暮らせて、老後も1階で過ごせる、省エネで快適な家にしたいということでした。

パッシブデザインコンペ資料03

パッシブ提案としては、建物の南面壁を真南から15度以内に配置計画。温度変化を少なくするためのオープンな設計。1台のみのエアコンの利用。自然風利用と昼光利用を意識しました。

次にゾーニング計画です。パッシブ的には土地に対して、北面に建物を持っていきたいところですけれども、北面と南面に車を駐車したかったため、土地に対して建物を真ん中に持ってきております。ポーチは北面と南面の二つを計画して、ドア玄関で繋ぎ、廊下を介さず、すぐに南面にLDKをゾーニングした。また、南面のLDKの上部に大きな吹き抜けを設けることで、日射と採風を考慮しております。

こちらが風と日射のイメージです。実際、風の特徴は、土地購入後、現地の近隣ご挨拶の際、風の流れをヒアリングして、風配図と、おおよそ相違がないことを確認して計画を進めました。

パッシブデザインコンペ資料04

上記が平面立面図になります。

ゾーニング計画でお話した通り、南面と北面のポーチを玄関土間で繋ぎ、すぐにLDKになります。LDKの上部には、4坪の吹き抜けを作り、風と光の道筋を作っています。南面には、すいません、手が震えてちょっと使いづらいですけど、南面には極力、開口部の大きなサッシを設けておりますが、北陸という地域は、冬の日照時間は、東京と比較すると3分の1程度のため、日射熱取得よりも、断熱と自然光利用のバランスを優先に考えています。いわゆる防御型のパッシブデザインです。もちろん、日射熱は無料なので、考慮はしております。

住宅性能は以下の通りになります。ので、これからお客様にしっかりと還元していきたいなというふうに思っています。

パッシブデザインコンペ資料05

こちらが完成写真になります。採光は南面から、こちらとこちらですね、十分に入ってきてるような形です。

パッシブデザインコンペ資料06

次に、自然風利用についてです。下の平面図をご覧ください。

起床時は北北西。就寝時は南東から主に風が入ってくると想定して、その上でサッシの位置と形状を決定し、ウインドキャッチと重力換気を行えるようにしました。

パッシブデザインコンペ資料07

次に日射取得、日射遮蔽についてです。

日射の取得は、先ほどもお話した通り、地域性を考え、断熱を有利にしたグリーングリーンのガラスを全方位に採用しています。日射遮熱に関しては、日射シミュレーションをもとに動きを出し、2階吹き抜けサッシには、EBブラインドを採用しております。実際に冬の日射シミュレーションが以下になります。8時から10時には、2階の吹き抜けのサッシから、日射が入るため、照明いらずで過ごすことができます。

冬場の積極的な日射取得はあてにはできませんけれども、それでも南面に大きなサッシを設けることで、太陽熱による暖房効果や照明エネルギー削減に繋げていくことができることが今回はこれでわかりました。

パッシブデザインコンペ資料08

次に冬と夏の室温の実測についてです。

測定器はHEMS AiSEG2をもとに、連動できる温湿度センサーを5ヶ所に配置しております。
最初に冬、1月の3日間のデータです。エアコンは1階の1台のみを使用。連続運転で暖房設定温度は21度です。
外気温は、朝方でも、0度近くですけれども、LDKは21℃から22度を保っております。温度差は2度以内で収まっている快適な状態でした。家族の声としても、真冬でも家中動き回れて、家事などがよくはかどるという声がありました。


次に、夏、8月の3日間のデータになります。エアコンは1階の1台のみ利用で連続運転。冷房設定温度は28度。2階に冷気を上げるために、40畳のサーキュレーターを利用しております。
外気温が35度の状態ですが、屋内は2階でも28度、ここには載っておりませんけれども、湿度は50%から60%を維持することができております。しかしサーキュレーターの音が大きいということが難で、今年の2階にオープンスペースに、10畳のエアコンを導入しました。ようやくサーキュレーターいらずで、これでかなり快適に暮らせております。

パッシブデザインコンペ資料09

次にエネルギーについて少しまとめてみました。

HEMSは、回路ごとの使用したエネルギー量も計測できるため、冷暖房の実際のエネルギー消費量と建築前の1次エネルギー消費量を比較してみました。結果、ご覧の通りですけれども、冷暖房ともに、実際のエネルギー消費量の方が4分の1程度で、かなり省エネになることがわかりました。

今回、冷暖房でありましたけれども、実際、給湯器だったり、その他換気関係も調べてみましたけれども、75%から70%も同じ程度で、削減ができております。

パッシブデザインコンペ資料10

はい、次に、年間の買電売電もまとめてみました。

こちらは実際の請求書からまとめた実数になります。

下が建築前の省エネレポートのデータです。これらを比較して考察してみました。省エネレポートによると、光熱費合計がシミュレーション5万3730円に対して、実際の年間光熱費合計は3万7514円でした。中でも年間買電に着目しますと、シミュレーションは18万5220円に対して、実際の年間買電エネルギーは、買電は、すいません、15万4345円でした。これは、パッシブ設計と太陽光発電の自家消費が影響したものと考えております。

次は年間売電についてのシミュレーションです。シミュレーションが13万1490円に対して、実際の年間売電は11万6831円でした。これは、エコキュートを晴れた日は自家消費分のエネルギーで湯沸かしを行えることが行ったことが、一つの要因と考えております。


電気代値上がり前のシミュレーションよりも、実際は経済的だったことで、図・現・暮一致が証明できたのではと考えております。

パッシブデザインコンペ資料11

次にこんなものもまとめてみました。

HEMSAiSEG2では、これらを導入している、似ている世帯数の家族で、エアコンの電気代を低い順に、県内、全国でランキングしてくれております、してくれます。ちなみに太陽光自家消費分は含まないので、純粋なエアコン代になります。

以下が直近の2023年7月から9月のエアコンの電気代のランキングになります。これらを見ていただきますと、全国一軒家プラスマンションで7472世帯中、今回の物件が1位という結果になりました。


2023年7月から9月のエアコンの使い方ですけれども、使用の仕方は、室内温度が28度を超えると、遠隔操作により、エアコンを運転させました。夜は連続運転になります。
従って無理せず快適にエアコンを使用してたという状況です。

また今年の8月、正確には8月10日ですけれども、石川県小松市は40度を超える暑さで、全国一位になった劣悪な環境の中、このような結果を得られたことから、相対的に見ても省エネ性の高い家だったというのを証明できたのではないかと考えております。

パッシブデザインコンペ資料12

最後に、こちらの画像は、私の息子になります。11月から弊社のホームページを新しくすることになり、その際、キャッチコピーを考えることになりました。そこでスーパーウォールのお家に住んでいる妻に、住み始めてどのような変化があったということを聞いてみたところ、このような言葉が出てきました。元々息子は季節問わず。よく咳をしていたんですけれども、この家に住むようになり、咳がほとんどなくなりました。温熱環境の変化で子供が健康になり、家族の心配とか負担が減ることで、家族が円満に近づけていけるんだなっていうことが、今回身を持って、大変勉強になりました。近畿大学の岩前教授がおっしゃる温熱環境で、健康改善ができるっていうことを身をもって体験することができました。

また今回、パッシブコンペを行うことで、体感だけでなく、数字的根拠での要因を分析することがしっかり行いましたので、これからお客様にしっかりと還元していきたいなというふうに思っています。

ご清聴ありがとうございました。

司会

はい。西川様ありがとうございました。

あの、大変素晴らしいプレゼンだったなと思って、すごく感動しております。

このパッシブコンペ全国でやっているところのすごくいいところが出たのかなと思ってまして、日本海側で、日照が少ないっていうその地域特性をしっかりと読み込んだ中で、防御型のパッシブということで、南面に日射取得したいところを、日照の条件とかを考慮して、あのような形の設定になったというところは非常にロジカルであの素晴らしいと思いますし、しかも一番最後に出てた光熱費のデータでおわかりのように、それがしっかりと実生活に活きているというところで、これが図・現・暮一致の部分の実現かなということをすごく感じました。
南面にね、窓の面積を抑えながらも、しかも外付けのブラインドも使って、夏の日射遮蔽というところも非常に考慮された素晴らしい設定だったなというふうに思いました。

あとは、一次エネの、要は、ZEHを皆さん計算する一次エネで省エネ性能を検証すると思うんですけれども、それをしっかりと分析してらっしゃるっていうところもすごいなと思いましたし、あれ一次エネはあれって全館冷暖房というか、間欠運転じゃなくて連続運転ということでのシミュレーションになるんですか。

普通にやると間欠での冷暖房だと思うんですけれども、いやそれで、さらに削減してるって多分すごいことですよね。普通に間欠運転と連続運転だと、どうしても快適性は取れますけれども、消費するエネルギーは多くなるところを、設定値よりもかなり抑えてるっていうところは、すごく勉強になるところがあると思いましたし、日本海側のエリアで仕事をされている多くの方が非常に参考になるプレゼンだったのかなというふうに思っております。

はい。光熱費のシミュレーション等の実際の比較もすごくわかりやすかったので、もう本当にそれをそのままお客様に伝えていただくようなツールとしていただいて、しかもご自宅ということなので、体感もしていただけるという、あの素晴らしい内容だったなというふうに感じております。

本当に実体験から大変だったと思いますけれども、はい。お疲れ様でした。ありがとうございました。