2023.12.06

どちらを選びます?樹脂窓 or アルミ樹脂複合ガラス?

皆様、こんにちは、

弊社は石川県小松市を拠点に小松市,能美市,加賀市を中心に
「全棟気密検査実施 、 断熱性能UA値=0.34W/(㎡・K)以下 、気密性 C値=0.1c㎡/㎡、耐震等級3の住宅」を設計・施工させて頂いている小さな工務店です。

今日は窓について書かせて頂きたいと思います。

皆様,新築やリフォームする際はどのような基準で窓の種類を選びますか?

「その工務店やハウスメーカーの標準仕様だったから」と気にされない方もいらっしゃいます。

はたまた,今住んでいるアパートなどの経験から「結露するのが嫌」,「寒くなるのが嫌」,「耐久性を考慮」など様々な性能面から選ぶ方もいらっしゃると思います。

結論から言えば窓の種類選びは非常に重要です。これから新築や大型リフォームをご検討している方であればしっかり窓の選定をしていくことは後悔しない家づくりの一歩につながります。

壁と窓の断熱性能の違い

そもそも,断熱材の入っている壁と窓の断熱性能は壁の方が圧倒的に高くなります。

分かりやすい資料が以下になります。

アルミ窓(単板ガラス)は皆様のご実家が取り入れられていることが多いと思います。これを壁に例えるとわずか0.2mm…壁と比較するとなんと1/500。しかも当時の家は窓の面積がとても大きいことが多いです。実家=寒いとなるわけです…

樹脂窓(ガス入複層ガラス)も壁に対して約1/3,樹脂窓(ガス入トリプルガラス)で約1/2になってきます。

快適に暮らす上でいかに窓の種類選びが重要かご理解頂けると思います。

樹脂窓 or アルミ樹脂複合窓?

弊社のお客様からよくご質問を受けるのが「樹脂窓とアルミ樹脂複合窓どちらがいいんですか?」

実際,以下がそれぞれの特徴になります。

<樹脂窓>

<アルミ樹脂複合窓>

① 断熱性で比較

以下が2023年現在の窓の種類によっての断熱性能になります。

※熱貫流率の数値は低ければ断熱性能は高いです

樹脂窓(アルゴンガス入 ペア)=熱貫流率1.27W/(㎡・K)程度

アルミ樹脂複合窓(アルゴンガス入 ペア)=熱貫流率1.44W/(㎡・K)程度

樹脂窓(アルゴンガス入 トリプル)=熱貫流率0.86W/(㎡・K)程度

アルミ樹脂複合窓(アルゴンガス入 トリプル)=熱貫流率1.19W/(㎡・K)程度

やはり,樹脂窓の方が断熱性能は高いと言えます。

とは言え,アルミ樹脂複合窓の断熱性能も以前に比べてかなり高くなっているのも事実です。

② 防露性で比較

防露性はアルミ箇所がある複合サッシのほうが不利になります。(しかし,以前の複合サッシよりも

現在はかなり改善されてきています)

③-1 耐久性で比較(強度)

強度としての耐久性は素材的には金属であるアルミよりも樹脂は不利になります。その分樹脂窓は枠部分の面積を大きくするなどして強度としての耐久性を上げています。しかし,メーカーによってはアルミ樹脂複合窓が高さ2700mmまで規格商品があるのに対して,樹脂窓は高さ2200mmまでしか商品がありません。

メーカーに確認したところ「樹脂窓は強度は上げる努力はしていますが,H2200mm以上上げてしまうと,前垂れしてしまう可能性があるため,制限しています」とのことでした。

③-2 耐久性で比較(色褪せ)

後,考慮しておきたいのが,樹脂サッシの色の変化(色褪せ)についてです。

樹脂と聞くとペットボトルやエアコンなどいろいろあります。樹脂の素材も様々あります。

ペットボトル ⇒ PET樹脂

エアコン ⇒ ABS樹脂

そして,樹脂サッシに使われているのはポリ塩化ビニル樹脂(PVC)になります。

上下水道配管や雨樋に使われる素材ですが,これにアクリル樹脂で保護して色の劣化を防ぐ対策がなされています。

実際の樹脂サッシを10年間促進対候性実験して経年劣化比較した資料が以下になります。

10年では目分ではほぼ変化がない状態です。

メーカーが30年完成品を設置した実験では樹脂部材には目立つ変化は見られないとの結果もあります。

環境の違いや選ぶ色でも変わるので30年経過して「目で分かる劣化はない」ということは個人的には??とは思っています。

しかし,樹脂窓の普及率が最も高い北海道は樹脂サッシのメンテナンスでの塗装技術がものすごく上がっているという情報もあるので,今後そのようなリフォーム対応も可能になってきます。

④採光性

先ほども書かせて頂きましたが,樹脂窓の場合,強度を上げるために枠部分の面積を大きく設計しています。以下がそのイメージ写真になります。

左2枚が樹脂窓で右から2番目のハイブリット窓がアルミ樹脂複合窓になります。

ご覧の通り,ガラス面積が小さくなっていることがお分かり頂けると思います。よって,

日射取得などや採光性に関してはアルミ樹脂複合窓の方が有利になります。

⑤気密性

気密は窓の素材というよりも窓そのものの種類によるものが影響すると考えます。例えば,縦すべり出し窓や横すべり出し窓は高い気密性を確保しやすいですし,逆に引き違い窓は気密を確保しにくかったりします。北海道で引き違い窓の出荷が最も少ない要因です。

弊社の基本仕様

弊社の新築の基本仕様は樹脂窓になります。理由としましては一番は断熱性・防露性等の性能優先ということです。同じ冬にアルミ樹脂複合窓と樹脂窓を比較して触った時の体感としてアルミ樹脂複合窓の方が気持ちひんやりする感覚があります。

また,世界に目を向けたとき,樹脂サッシの普及率は以下になります。

住宅性能の先進国であるドイツなどのヨーロッパ諸国での樹脂窓の普及率は60%を超えています。(ちなみにその他の窓の比率で高いのはさらに断熱性能の高い木製窓になります)

先進国に習う意味でも樹脂窓が基本仕様です。

また,ガラスの基本仕様はペアガラスになります。弊社は建築前段階で建物の外皮計算を行い,住宅全体の断熱性能UA値=0.34W/(㎡・K)以下をとるために足りなければ大きな窓からトリプルガラスに変更していくという考え方です。ガラスがトリプルになればコストも上がっていくことになるので,性能とコストのバランスを考慮しています。

アルミ樹脂複合窓がお好みの方も

弊社のお客様にもある一定数アルミ樹脂複合窓を好む方もいらっしゃいます。経験上,金属系の工場のエンジニアなどの職種のお客様はやはり,耐久性を考慮してアルミ樹脂複合窓を選ばれます。その場合も事前に外皮計算を行い,住宅全体の断熱性能UA値が損なわれないか,検証の上お客様と一緒に選定させて頂きます。

まとめ

今回は樹脂窓 or アルミ樹脂複合について書かせて頂きました。工務店やハウスメーカーさんそれぞれの考え方で窓の基本仕様があります。しかし,お客様ご自身も窓選びの基準を持って選定していくことは非常に大切になってきます。コスト優先で窓を選んでいくと,建てた後,必ず後悔します。窓全体の交換はそれほど簡単なものではありません。費用も莫大にかかります。しっかり,建築前段階で検討することを強くおススメします。

本日も最後までお読みくださりありがとうございました。

弊社では随時高気密高断熱住宅に関するイベントを実施しております。

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