2022.02.23
北海道での新築で意外と採用されない窓の種類とは?
皆様、こんにちわ。
弊社は石川県小松市を拠点に小松市,能美市,加賀市を中心に
「全棟気密検査実施 、 断熱性能UA値=0.34W/(㎡・K)以下 、気密性 C値=0.1c㎡/㎡、耐震等級3の住宅」を設計・施工させて頂いている工務店です。
窓には様々な種類があります。
代表格の窓は以下の通りです。
この中に北陸の新築でよく採用され,北海道では採用されにくい窓がこの中の一つあります。
皆様わかりますでしょうか?
答えは
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引き違い窓です。
びっくりですよね?私もはじめてメーカーから話を伺ったときは衝撃でした。
北陸では当たり前に採用されている引き違い窓なのになぜ北海道では採用されにくいのか?
少し話は変わりますが,日本では以下のように「住宅の省エネルギー基準」における地域区分が8つに分かれています。
北海道が地域区分1,北陸は地域区分5もしくは6,沖縄が地域区分8といった形です。
国が求める建物断熱基準UA値が地域区分8→1に移動するほどシビアになっていっています。
(UA値の詳細に関しては別ブログに記載があります)
要するに寒ければ寒いほど,エネルギーを多く使うのでしっかり断熱性能を高めてくださいという国からの指令です。
以前もお話しましたが,性能の高い家をつくるためにはUA値と同等,いやそれ以上に大切なのがC値(相当すき間面積)です。
断熱性能を高めると同時に家のすき間C値を少なくすることが非常に重要です。
北海道では引き違い窓が採用されにくい背景はこの気密性にあったのです。
この中で最も気密性の低い窓はルーバー窓です。北陸の20年近く前に建てられた住宅やアパート
にはよく採用されていて,閉めていても風が侵入する窓と認識している方も多くいると思います。
現在の新築には採用されることはまずないといってようでしょう。
次に気密性の低い窓が引き違い窓(面格子付窓含む)なんです(汗)
引き違い窓はガラスが2枚あり,窓と窓の隙間にどうしても若干のすき間を作らなければ窓が開閉できないためです。
これは意外とハウスメーカーや工務店さんなども知っているようで知らない事実です。
最近ではトリプルガラスや樹脂窓など性能の高いサッシが多く採用され,お客様も詳しい方が多くなったように感じます。
しかし,性能を高めるためにトリプルガラスや樹脂窓を採用しても引き違い窓だらけでは本末転倒です。
これは多くの建築会社が引き違い窓の性能を知らないがゆえに起こっている意外と多い失敗談です。
ちなみに現在弊社はテラスに出れるような設計のときのみ引き違い窓をご提案しています。
(それでも希望のお客様にはご説明をしっかり行った上でご採用頂いています)
また,トイレや洗面脱衣室には横すべり出し窓を基本提案としています。
これはよく窓を開ける箇所になるため,急な悪天候があったとしても部屋に雨の侵入を減らすためです。
その他のサッシは基本縦すべり出し窓をご提案します。
これには理由がありまして,以下の写真のように引き違い窓では入りにくい風も縦すべり出し窓なら
いったん窓に風をあてて屋内に風を取り込むウインドキャッチが可能になるためです。
そのため,弊社は地域の風向の統計を調べた上で窓の設置位置,高さ,向きを決定していきます。
そうすることで真夏や真冬以外エアコンなどの熱源を使わない生活が可能になるからです。
風や日射を取り入れることでエネルギーを抑え,快適な空間をつくることをパッシブデザインといい,
弊社は積極的にこのパッシブデザインをご提案しています。
気密性,風の取り入れやすさ,生活する上での用途,美しく見える外観デザインの観点から窓の種類を決めていきたいものです。
今回は窓の種類についてお話させて頂きました。窓は奥が深いので機会あればガラスや素材の話もしたいと思います。
それでは少しでも皆様の家づくりのヒントになれば幸いです。