2024.04.10

長期優良住宅を選択して、最もメリットがある方は誰?

皆様、こんにちは。

弊社は石川県小松市を拠点に小松市、能美市、加賀市を中心に

「全棟気密検査実施 、 断熱性能UA値=0.34W/(㎡・K)以下 、気密性 C値=0.1c㎡/㎡、耐震等級3の住宅」の住宅を設計・施工させて頂いている工務店です。

前回のコラムでこれから住宅を建てる方は「耐震等級3」、「制震」、「長期優良住宅」にすることは永く安心に暮らしていくためには非常に大切だというお話をさせて頂きました。

実際、能登半島地震以降来店されるお客様の言葉から以上の3つのワードが多く出てきていることは事実です。

今回はその「長期優良住宅」についての制度から基準について、また注意点やメリットなどを詳しく書かせて頂こうと思っております。

長期優良住宅とは…

長期優良住宅とは「長期にわたり良好な状態で使用するために措置が講じられた優良住宅」になります。この長期優良住宅認定制度は平成21年6月4日より新築を対象とした認定が開始されたので、約15年前に始まった制度になります。また、平成28年4月1日から既存住宅の増築・改築を対象とした制度も開始されました。

長期優良住宅の目的

長期優良住宅の目的を私なりにまとめると、

「安全で快適な家をメンテナンスしやすくすることで、何代にも渡って住み続けることを可能すると同時に、建物自体の資産価値の低下を防ぐ」と考えます。

長期優良住宅は従来の一般住宅とは仕様も受けられるメリットも全く違うものになってきます。その詳細についても順次お伝えさせて頂きます。

長期優良住宅の認定累計戸数

以下が長期優良住宅に関する各年度の認定戸数と認定累計戸数の推移を表した表になります。

長期優良住宅の認定戸数は令和3年度末で累計135万戸以上になります。

年間10万戸程度を推移していて、新築される一戸建て住宅の約4戸に1戸は長期優良住宅の認定を取得しています。

長期優良住宅の「主な認定基準」

長期優良住宅の主な認定基準には

①耐震性②省エネルギー対策③維持管理・更新の容易性④劣化対策⑤住戸面積⑥居住環境⑦災害配慮⑧維持保全計画があります。

これらの項目の基準を全て満たし、所管行政庁に申請することで認定を受けることができます。

そして、2022年10月1日より長期優良住宅の制度改正が行われて基準が変更しました。詳細が以下になります。

大きな変化としては

<耐震性> 耐震等級2以上 ⇒ 耐震等級3

<省エネルギー対策> 省エネルギー対策等級4 ⇒ 省エネルギー対策等級5、一次エネルギー消費量等級6

になります。

よくひっかかるのは、「75㎡を下回る家は長期優良住宅にならない」ということです。75㎡は22.6坪になります。小さすぎる家は長期優良住宅の対象にらないのです。しかし、現在全国的にもコンパクト住宅が普及している状況を踏まえると、将来的にも緩和される可能性があるかもしれません。

後は床下空間の部分です。「床下空間が330mm以上」という基準があります。サンクンリビングやダウンフロアにする場合は長期優良住宅は非常に厳しくなります。高基礎にするなら可能ですが、ダウンフロアのためだけの高基礎であれば、コストは割高に感じます。長期優良住宅はあくまでも将来的にメンテナンスがしやすい様にするためが一つの目的ですので。

サンクンリビングのイメージ

長期優良住宅にすることでのメリット ①住宅ローン控除

長期優良住宅することでのメリットとして、一つは住宅ローン控除額が最大限になるということです。逆に一般住宅では2024年からは控除額0円になります。

長期優良住宅にすることでのメリット ②住宅ローンの金利引き下げ

固定金利フラット35Sでは上記のように金利引き下げの対象になります。地銀によっては同じく長期優良住宅での金利引き下げもあります。

長期優良住宅にすることでのメリット ③その他の税制優遇

固定資産(戸建て)は減税措置(1/2減額)が一般住宅が1~3年に対して、長期優良住宅では1年~7年になります。不動産所得税の控除額は一般住宅の場合1200万円に対して、長期優良住宅の場合、控除額100万円多い1300万円になります。

長期優良住宅にすることでのメリット ④地震保険割引

地震に強い家を建てたのだから、地震割引があるのは当然と言えば当然です。50%割引は大きいですね。

長期優良住宅を国は推進している

今年度から始まった住宅省エネ2024キャンペーンの子育てエコホーム支援事業での対象となる新築住宅と補助額は以下の通りになります。

補助額80万円のZEH住宅に対して、長期優良住宅は20万円上乗せの100万円になります。

この補助額や上記で書いた税制優遇を見ても、国はこれから住宅を建てる方々には「長期優良住宅を建てて頂きたい!」と強く願っていることが分かると思います。

日本と欧米の住宅の資産価値の違い

現在の日本では建物の不動産価値は計算上は20年で0円になってしまいます。投資に置き換えると考えられないことです。20年後に0円になると分かっていて、日本では多くの人が家を建てています。

欧米はどうでしょう?欧米の家は古くなればなるほど価値が高くなる文化があります。イギリスでは築200年~300年の家は超高値で取引されるのは当たり前です。

欧米の家のイメージ

「人口が増えている」、「街並みを守る文化がある」、「構造が石造りで長持ち」、「湿気の少ない気候」など欧米と日本では考え方や環境の違いがあるにせよ、少なくとも日本はこれから建てる優良な住宅には資産価値を上昇しないまでも、下落を抑えたいと考えています。

住宅の資産価値が0になって悲しむのは所有者だけではありません。国全体の正味資産(国富)も下がっていくのです。

2~3代続く100年以上安全で快適に住める住宅をストックしていくことは国の資産価値を守ることにもつながりっていきます。

長期優良住宅を建てることで、本当にメリットがあるのは建てたあなたではない

長期優良住宅にすることで所有者は前述でも記した「住宅ローンの引き下げ」、「税制優遇」、「地震保険の割引」のメリットがあります。もしかすると、これらのメリットのために長期優良住宅を選択する方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、最もメリットがあるのは住宅の所有者であるあなたではありません。最もメリットがあるのはその建物を引き継いだ大切なご家族になります。

築40年以上の一般住宅を引き継ぐ場合、性能向上を目的とした大型リフォームすることになったとすれば、○○○○万円になる可能性は高いです。建物を解体して更地にして売買する場合、現在解体費用も上がっていることを考慮すると、解体費用と売れた土地の金額でほぼトントンなんてケースも珍しくありません。建物を解体せずに建物+土地で売買しようと思っても買い手がつくにはかなりの時間がかかると考えます。

築40年以上の長期優良住宅を引き継ぐ場合、おそらくリフォーム工事は〇〇万円~○○〇万円で済む可能性は高くなります。売買を選択する場合は建物を解体せずに建物+土地でも割と早い段階で売買できると思います。

長期優良住宅を引き継いだ方は相続でも売買でもどちらを選択しても、一般住宅に比べればはるかに受け取る価値は違うものになります。

自分が建てた家をご子息から「引き継ぎたくない」と言われるか、「いい家を建ててくれた」と感謝されるかでは雲泥の差です。実際、日本で起こっている空き家問題は前者が圧倒的に多いから起こっていることでもあります。

長く良質な家を建てるためには、物事も長いスパンで考える必要があります。どうぞ、これから家を建てる方は自分のメリットだけでなく、その先の受け継ぐ方のことまで考えた家づくりをされることをおススメ致します。

本日も最後までお読みくださりありがとうございます。

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