皆様、こんにちは、
弊社は石川県小松市を拠点に小松市,能美市,加賀市を中心に
「全棟気密検査実施 、 断熱性能UA値=0.34W/(㎡・K)以下 、気密性 C値=0.1c㎡/㎡、耐震等級3の住宅」を設計・施工させて頂いている小さな工務店です。
日々,能登半島地震について情報が入ってきて心を痛める毎日です。
能登方面の方々の被害はTVの映像でも確認できますが,
実は石川県の南方面も無傷ではありません。
2024/1/18までの石川県内の建物の被害状況
≪2024/1/18時点≫
【金沢市】全半壊2922棟(一部破損含む)
【内灘町】全半壊1179棟(一部破損含む)
【野々市市】 一部破損10棟
【能美市】半壊1棟 一部破損300棟
【小松市】半壊13棟 一部破損1179棟
【加賀市】 全壊5棟 半壊17棟 一部破損816棟
震源地から近い=被害が大きい訳ではない
この数字を見て思うのは震源地に近い方が必ずしも被害が多いわけではないということです。
ちなみに今回の震源地の輪島市付近からそれぞれの市の距離は内灘町で100km程度,野々市市で120km程度,能美市で130km程度,小松市で140km程度,加賀市で160km程度。
石川県は昨今大きな地震がなかったため,住宅の耐震化率は全国と比較しても低い地域になります。しかし,県内の市によって極端に新しい家や耐震化されている家が多かったり,少なかったりするはずはないと考えます。
となると,やはりその地域の「土地」,「地盤」の違いが被害の代償を左右する可能性が高いと考えます。
お客様訪問の経験から
今回私は2024/1/2からさまざまなお客様からお電話頂き,一時対応・現調・修繕を行ってきました。
地質に関する専門家ではありませんが,被害が多い住宅の現場に足を運ばせて頂きました。今回の経験での気づきがこれから家を建てる方にとって,安心に暮らせるための情報をご提供できるのではと考えています。
液状化現象
今回直接の地震による倒壊とは別に建物や道路に被害が多いのは「液状化現象」です。
液状化現象とは強い地震が起こる際,地下水に浸った砂地盤が液体のように流動化することを言います。
結果的に道路に亀裂が入ったり,建物が傾いたりしてしまいます。
液状化が起こる可能性が高い地域の特徴
まずは「50~60年に造成された比較的新しい土地」が可能性が高いです。2011年の東日本大震災の影響で起きた千葉浦安市の液状化現象はそれにあたります。
次に「もともと沼や池であった土地」も同様です。沿岸だけでなく,沼や埋め立てた土地は地下水が高いことが多いため,液状化の発生条件に当てはまることがあります。
後は,「自然堤防や旧河道や大河川の沿岸」も全体的に地下水が高いため,液状化の可能性は高まります。
これらに共通しているのは「低地で水を多く含んだ砂地の地盤」です。「地盤が弱い=地盤が柔らかい」とも言えます。
耐震等級3の住宅でも液状化になれば傾く
いくら耐震等級3の家をつくっても地盤が液状化すれば,家の形を保ったまま,家は傾く可能性があります。そして,液状化した地盤の沈下修正はそう簡単にはいきません。
液状化対策において最も大事なのは「家を建てる場所は液状化する地盤を避ける」ことです。
重ねるハザードマップ
その地域が地盤が弱いか強いか教えてくれるサイトはいくつかあります。中でも国交省が用意している「重ねるハザードマップ」はおススメです。大量の情報を網羅している点では公的資料が一番良いです。
洪水・内水,土砂災害,高潮,津波などのさまざまな災害の発生する傾向を地図上に重ねてくれます。
液状化の発生傾向図も確認することができます。
液状化発生傾向の強弱を色別に表してくれます。詳細が以下になります。
紫や赤の地域になるほど液状化する可能性が高いと言えます。
この資料の情報を基に今回訪問した被害の多い地域の地盤の強弱を検証していきたいと思います。
石川県川北郡内灘町上荒屋
内灘町西荒屋町は液状化では最も被害の大きい地域だと思います。
私も友人がいたので地震の5日後に訪問してきました。
正直,ここまで液状化被害が厳しいのは直接目にするのは初めてで衝撃でした。運転中は30度ほどに傾くのは当たり前な状態。電柱や建物もかなりの数が傾いていました。
重なるハザードマップで確認すると,被害で大きかったのは以下の地図の白く線で囲った地域になります。
赤と紫に囲まれた場所で地盤はかなり弱い地域になります。海にも近く下には潟もあります。低地で水を多く含んだ砂地の地盤になります。
石川県小松市沖町
小松市沖町はイオンなどの商業施設があり,非常に便利な土地です。いまや市内では一番人が集まる地域といってもいいです。
しかし重ねるハザードマップで確認すると,オレンジ部分になります。2022年にあった梯川,鍋谷川氾濫で甚大な浸水被害があった低地になります。
小松イオンのテナントショップも地震によりかなりの被害があったようで,1階の食品コーナー以外はしばらく休業されていたようです。
付近の弊社のお客様もかなりの被害がありました。
以下がその写真です。
鉄筋の入っていない石積みの塀は簡単に崩れてしまっています。
2階の壁のベニヤも地震の揺れで釘がとれて,外れてしまっている状況です。
その他にも屋根の瓦や基礎もかなりの被害がありました。
現在罹災証明書を発行して今後の方向性をお客様と検討中です。
小松市はその他にも梯川付近の川辺町でも道路の隆起や建物が傾いたなどの被害があります。
加賀市片山津付近
加賀市片山津は温泉場で観光地として非常に人気のエリアです。
しかし,ご覧の通り柴山潟という潟が付近にあり,大雨の際は道路に水が溜まりやすい低地地域になります。
重ねるハザードマップで確認してみると,濃いオレンジで地盤がかなり弱い地域であることが分かります。
少し山手にはなりますが片山津付近のお客様へ訪問した際,訪問途中の道路とその近隣の被害の写真が以下です。
この道路の横には水留があります。その水留の方面に土や砂が流れて道路や建物が引っ張られている状況です。建物自体も傾いてしまっています。片山津付近と同様に加賀市大聖寺付近もこのような建物の沈下や倒壊も多いと報告を頂いています。
被害が大きかった地域と重ねるハザードマップを見比べてみて
今回震災後,訪問した被害が大きかった地域と重ねるハザードマップを見比べてみて,こんなに液状化被害って予測できるの?とその正確性に驚くばかりでした。能登地震だけでなく,東日本大震災の時の浦安などもこのマップで見ると,やはりなるべくしてなったと言わざるを得ません。ここまでピンポイントに液状化リスクを言い当てられてしまうと,「もうここには家を建てないで」と言われているようにしか感じれません。
被災・被害に合われた方々へ
今回能登半島の方のみならず,石川県,富山,新潟の被災・被害に合われた方々には改めてお見舞い申し上げます。
弊社も地域の困っている方々にお役に立てるよう努力して参る所存です。
そして,今回起こった事実を地域の工務店としてしっかり教訓に替えて,私たちも学んで変化していかなけれいけないと感じています。
これから家を建てる方へ
これから家を建てる方でまだ土地が決まっていない方はぜひ,重ねるハザードマップ等のサイトで地盤の強弱を確認して土地選びをして頂きたいと思います。
弊社も近年は耐震等級や長期優良住宅をご提案することが非常に多くなってきております。北陸もこれからその方向性は一気に加速していくと思われます。
しかし,建物はどれだけ頑丈なものになっていても,その土地が軟弱であれば建物の形は変えず傾いてしまうことになります。「家を建てる場所は液状化する地盤を避ける」ことは安心・安全に暮らす上で最初の必須条件になってきます。
弊社も2022年の水害からお客様の土地選びには様々な資料や情報をもとにサポートさせて頂いています。不安のある方はお気軽にご相談ください。
まとめ
これからの住宅は性能向上は当たり前です。断熱等級6以上・耐震等級3・長期優良・ZEHの性能は後悔のない家づくりを行う上ではどれも落とせない大切な要素だと思います。「安い」からという理由でなく,「安全・安心な家づくりをしてくれる」という観点で工務店やハウスメーカーを検討していただければと思います。
本日も最後までお読みくださりありがとうございます。
弊社では随時高気密高断熱住宅に関するイベントを実施しております。
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