今回、このシリーズの最後は、坪単価のことをお話させてもらいます。
よく坪単価という言葉を聞くと思います。
そこでこの話を読んでその実態をつかんでほしいです!
お家の価格の高い、安いを判断する基準として“坪単価”があります。
実際、たくさんの方から「坪、いくらくらい?」とよく聞かれます。
それをもとに価格の高い、安いを判断されておられる方も多くおられるでしょう。
しかし、事実を言わせてもらうと、坪単価というものは、ほぼあてにならないです。
ですから、これからその理由をお伝えしていきたいと思います。
1つ目は、坪単価に違いが生じる要因
「家の形状の違い」です。
坪単価というのは、建てる家の形状に大きく左右されます。
例えば、延床面積が同じだとしても、1階が大きく2階が小さい家と、1階と2階が同じ広さ(総2階の家)では全く坪単価が違ってきます。
ましてや平屋となると坪単価は、グンと高くなります。
ですから、あなたが建てたいと思われている家がどんな家なのかを相手に伝えないままで、ただ単に坪単価だけを聞いて判断してしまうと、本当に選ぶべき家づくりのパートナーを見過ごしてしまうことになるかもしれないので、坪単価だけで判断しないでほしいです。
2つ目は坪単価に違いを生じさせる要因
“メーターモジュールと尺モジュールの違い”です。
これは、柱と柱の間隔の差のことです。
メーターモジュールでは1m間隔で柱が立ちますが、尺モジュールでは、91cm間隔で柱が立ちます。
となると、同じ間取りプランを描いたとしても、大きく面積が違ってくることになります。
同じ縦方向に柱9本、横方向に柱9本となるように総2階の間取りプランを描いたとします。
そうすると、メーターモジュールの場合は、各階が8m×8m=64㎡ずつになります。
これに対し、尺モジュールは、縦横ともに7.28m×7.28m=52.99㎡ずつということになりますね。
となると、同じ間取りを描いたとしても、64㎡×2―52.99㎡=22.02㎡(6.66坪)も面積に差がでることになります。
もちろん、メーターモジュールの方が面積が広い分、少し尺モジュールよりも総額が割高になるので、その分、考えたうえで価格を比べてみたいと思います。
メーターモジュールの家:128㎡(38.72坪)で1800万円
尺モジュールの家:105.98㎡(32.05坪)で1700万円
あくまでも参考例です。
同じ材料を使った場合、約この程度の差になると思います。
この場合、メーターモジュールの方は、1800万円÷38.72坪=46.48万円が坪単価になります。
また、尺モジュールの方は、1700万円÷32.05坪=53.04万円が坪単価ということになります。
その結果、53.04万円-46.48万円=6.56万円もの坪単価の差が、モジュールを変えるだけででてしまいます。
坪単価の安さを前面に打ちだしている住宅会社の多くは、メーターモジュールを使っていると思います。
ただ坪単価が安いだけで、家そのものが安いかは、微妙なところなので、充分注意していただきたいです。
坪単価に違いを生じさせる3つ目の要因
“延床面積と総施工面積の違い”です。
延床面積とは、家の床面積のことです。
これが住宅の図面に書いてある面積です。
総施工面積とは、図面に書いている面積に入っていない部分も含めた面積です。
具体的には、玄関ポーチやベランダ、吹き抜け、ロフト、小屋裏収納、ウッドデッキといったところを含めた面積なのです。
普通は、見積り金額の総額を延床面積で割った数字が“坪単価”だと思っておられる方が多いと思いますが、本当は、すべての会社が、この延床面積を基準に坪単価の説明をしてくれているとは、限らないということです。
総施工面積で割った数字で説明してくる住宅会社もあるということをわかってくださいね。
確実に新築をするときは、こういったところもすべて工事をするのでそれなりに経費もかかってくるので、それは、間違いというわけではないのですが・・・
しかし、延床面積で割るのと総施工面積で割るのとでは、全く坪単価が違ってきます。
家の総額が1800万円だとしたら、“延床面積”の場合は、坪単価60万円なのに対して“総施工面積”の場合は、坪単価45万円ということになるので坪単価の感じ方は、全然違ってきますよね。
しかも、これは先ほどのモジュールの差以上に、坪単価の差が大きくなりますから、この錯覚に惑わされないように注意していただければと思います。
「この会社は、安い!」と思って、いざプランを作ってもらい、見積りが出てくると予想していたよりも高い見積りがでてびっくり!・・・
なんてことになってしまうと、ただ無駄な時間を過ごすことになりかねないですね。
いかがでしたか?
新築では、“家の形状の違い”から始まり、“モジュールの違い”と“延床と総施工の違い”
この3つの要因によって、坪単価は大きく違ってくることになります。
ということで、結論は、“坪単価”や“本体価格”という表示は、まったくあてにならないということです。
見かけの安さに騙されないように注意していただきたいです。