2022.10.20

太陽光発電システムに対する疑惑!?その3

皆様、こんにちわ。

弊社は石川県小松市を拠点に小松市,能美市,加賀市を中心に

「全棟気密検査実施 、 断熱性能UA値=0.34W/(㎡・K)以下 、気密性 C値=0.1c㎡/㎡、耐震等級3の住宅」を設計・施工させて頂いている工務店です。

太陽光発電システムで頂く質問の中に対して,多いものを3回に分けて解説させて頂いています。「その1 売電しても元がとれない!?」,「その2 太陽光発電自体がエコではない!?」と書かせて頂きましたが,今回は設置後のトラブルについて解説させて頂きます。

【疑惑3】トラブル多発!?

太陽光パネルの取付方法は2種類

まず太陽光パネルの取付方法には2種類あります。以下にまとめました。

屋根置き型 <メリット>取替が容易,価格が安い,

       <デメリット>台風の影響を受けやすい

屋根置き型の事例

屋根一体型 <メリット>見た目がスッキリ

       <デメリット>価格が高い,発電効率が下がる,取替が簡単ではない,

              パネルが固定資産としみなされる

屋根一体型の施工例

このようなメリット・デメリットを考慮すると,屋根置き型を選ぶ施主様が全国的にも圧倒的に多い理由です。もし屋根置き型で雨漏れの可能性があるとすればパネルを載せるフレームを取付した箇所になります。

新築時に太陽光発電を取付けると,瑕疵担保責任保険の対象になる

新築時に太陽光パネルを載せて引き渡しした場合は「構造体力上主要な部分」と「雨水の侵入を防止する部分」の瑕疵担保責任保険の対象になります。(竣工後リフォームで取付した場合は対象になりません)

瑕疵保険法人の年間の事故処理件数の9割以上が雨漏り

瑕疵保険法人の年間の事故処理件数の9割以上が雨漏りで,そのうち屋根・防水の割合が1.5~2割ほど。その屋根の雨漏りのほとんどが「天窓・煙突・ケラバ・棟谷箇所」で発生しており,逆に屋根の平場では雨漏れはほどんどないとのことです。

瑕疵保険大手でも新築で太陽光の雨漏れ事故は過去2件

年間11万件の新築戸建ての瑕疵保険の受付を行っているJIOでもこれまで把握している太陽光パネルの設置工事が原因で雨漏れした事故処理は2件のみということです。

引き渡し後屋根材要因
5年アスファルトシングル架台の取付ビスから雨水侵入
6年スレート瓦架台取付したビスに塗布したシーリングの施工不良
過去太陽光パネル設置が原因で事故処理した2件の詳細

この2件の屋根材を見てもアスファルトシングルやスレート瓦はそもそも屋根材として高い耐久性を備えてない部材ですし,太陽光発電との相性も良くありません。どちらもビスで屋根に穴をあけて施工方法になります。

アスファルトシングル屋根の費用・メンテナンス方法と施工例!実際どうなの? | リフォーム費用の一括見積り -リショップナビ
アスファルトルーフィング
年数の経ったスレート屋根

弊社は新築での屋根のご提案で最も多いのはガルバニウム鋼板立平葺です。立平のハゼの部分に屋根とフレームを固定する金具を取付けるキャッチ工法です。ですので屋根に穴は開けません。

架台金具キャッチ工法

屋内へ運ぶ配線の穴は壁に施工しますので雨漏れの心配もありません。

パネル工事配線の穴開け箇所

太陽光パネルを載せることでかかる荷重による建物の負担

パネル1枚(300W程度)の重さはおおよそ18kg。5KW分を載せると17枚必要でパネルの全体の重は約300kgほどでそれに架台を加えると約400kgになります。そもそも,屋根の重さでいうと瓦屋根の場合は4~5トンの重さになります。これに対して400kgはさほどの重さににはならないかもしれませんが,近年は窓の高性能化によって窓自体ももかなり重くなっていますので,住宅全体としての荷重は増えているのが実情です。

ZEHでの補助金取得の条件に耐震等級が加えられるようになった

2022年のZEHでの補助金(グリーン化事業等)を取得するための条件としてた「耐震等級2以上」が加えられるようになりました。(正確には耐震等級2以上の住宅が補助金取得を優先的に行えるようになっています)この流れの理由としては,「400kg以上の太陽光パネルを載せているのにその荷重の策をするべきでなのでは?」というのが一つです。補助金を取得しないにしても太陽光発電を導入するのであれば設計時に許容荷重の計算を行っておきたいところです。

外部環境の変化で日影が多くなってしまったら…?

何年か経ち,隣に自宅以上の建物ができ屋根の一部が日影になってしまったらどうすればいいのでしょうか?2000年前半のパネルですとパネルの一部が日影になると,全体で発電しなくなるケースもありました。しかし,現在のパネルは進化しており,日陰の影響は限定的になっています。

もし土地を購入して新築を建てる場合は購入前には近隣の状況の確認は必要です。隣の土地が空いていればそのうち建物が建つ可能性は高いです。弊社のエリアである石川県小松市や能美市,加賀市では急に3階以上のビルができる可能性は低いので太陽光パネルの影響は少ないですが,日射取得の変化の影響は大いに関係します。事前に最悪の状況をシュミレーションしながら建築計画を立てていくことをおススメします。

まとめ

以上3回に分けて皆様の太陽光発電に関する疑問について書かせて頂きました。弊社としてはエネルギー問題が付きまとうこれからの時代は新築する上で太陽光発電システムは欠かせないものだと考えています。(もちろんすべてのお客様には強制しませんのでご心配なく)しかし,世の中には間違った情報が出回っているのも事実です。できるだけ皆様に正しい情報を得て,快適な暮らしを送って頂きたいと思い,このコラムを書かせて頂きました。最後まで読んで頂きありがとうございます。