「断熱等級6なら安心」…本当にそうでしょうか?
家づくりを調べていくと、
「断熱等級6」「高性能住宅」という言葉をよく目にします。
一方で、実際にご相談に来られる方の多くは、
こんな疑問を口にされます。
- 「UA値0.34って、数字としては良さそうだけど、実際の暮らしはどうなんですか?」
- 「UA値がどこまで下がれば、家中あたたかいんですか?」

断熱等級よりもUA値のほうが、感覚的に理解しやすい
と感じている方が増えているのです。
UA値は「断熱等級の中身」を表す数字
断熱等級6という言葉は、
実は UA値の範囲で決められています。

例えば(地域によって多少前後しますが)
- 断熱等級6
→ UA値 おおよそ 0.46以下
ここで大切なのは、
同じ「等級6」でも、UA値には幅がある
という点です。
UA値0.46の家と
UA値0.28の家は、
どちらも断熱等級6ですが、
熱の逃げにくさはまったく同じではありません。
「等級6でも寒い」と感じる理由は、UA値の“幅”
実際に、
- 「断熱等級6と聞いていたのに、廊下が寒い」
- 「リビングは暖かいけど、脱衣所がつらい」
という声は、少なくありません。
この違和感の正体は、
多くの場合 UA値の設定と、家全体の考え方にあります。
UA値は、
- 壁・屋根・床・窓
すべてを含めた 家全体の平均値
そのため、
- 窓が弱い
- 床や基礎の断熱が弱い
- 施工精度に差がある
といった要素があると、
同じUA値でも体感に差が出るのです。
UA値は「机上の数字」でも、あいまいにしてはいけない
ここで誤解してほしくないのは、
UA値は意味がない
という話ではありません。
むしろ逆です。
UA値は、家づくりの判断にとても重要な数字です。
ただし、
- 計算の前提がどうなっているか
- どこまで厳しく設定しているか
- 体感と結びつく説明がされているか
ここがあいまいなまま
「等級6だから大丈夫」と進んでしまうと、
住んでから違和感が出やすくなります。

省エネと「寒くない暮らし」は、必ずしも一致しない
UA値は、もともと
エネルギー消費を抑えるための指標です。
一方で、
- 家の中に15℃未満の場所がどれくらいあるか
- 廊下や脱衣所が冷え込まないか
- 足元が冷えないか
といった部分は、
健康や快適性に直結する体感の話になります。
HEAT20の考え方では、
「15℃未満になる時間・場所の割合」が
とても重要視されています。
つまり、
UA値が基準を満たしていても
家のどこかが冷え込むなら
“暮らしとしては不十分”
というケースもあるのです。

UA値を見るときに、必ず一緒に考えてほしいこと
UA値を判断材料にするとき、
私たちは必ず次の3つをセットで考えています。
① UA値はいくつか(どこを目標にしているか)
- 断熱等級6ギリギリなのか
- 余裕をもたせた数値なのか

② 気密性能(C値)は実測しているか
UA値がいくら低くても、
すき間が多ければ体感は崩れます。
- 全棟で気密測定をしているか
- 数値を公開しているか

③ 換気で熱をどう扱っているか
- 熱交換率はどれくらいか
- 家全体に空気が回る設計か

「数字が読めるようになる」ことは、後悔しないための武器
UA値は、
難しい専門用語に見えるかもしれません。
でも、
- 等級だけで判断しない
- 数字の“幅”に気づく
- 体感と結びつけて考える
これができるようになると、
家づくりの判断精度は一気に上がります。
勉強しなければならない、ではなく
「知っておいてよかった」と思える知識。
それがUA値だと、私たちは感じています。

断熱等級6は、確かに「あたたかい」
まず大前提として、
断熱等級6の住宅は、従来の住宅と比べて十分にあたたかい
という点は間違いありません。
- 暖房を入れたときの立ち上がりが早い
- 外の寒さの影響を受けにくい
- 省エネ性能も高い
こうしたメリットがあるからこそ、
断熱等級6は「高性能住宅」の基準として広く使われています。
ただし──
ここで一歩踏み込んで考えてほしいのが、
その“あたたかさを、どれだけ効率よく保てているか”
という視点です。
あたたかさを「保つ力」が、ランニングコストを左右する
同じ断熱等級6の家でも、
- 気密性能が高い家
- 気密があいまいな家
では、住み始めてからの暮らしに違いが出てきます。
すき間が多い家では、
せっかく暖めた空気が、少しずつ外へ逃げてしまいます。
その結果、
- 設定温度を上げがち
- 暖房を切れない
- LDK以外が寒くなりやすい
といった状態になり、
「あたたかいけれど、光熱費がかかる家」になりやすいのです。

気密性能が高いと、暖房は「がんばらなくていい」
気密性能(C値)が整っている家では、
- 暖かい空気が逃げにくい
- 冷たい外気が入りにくい
ため、
少ないエネルギーで室温を保ちやすくなります。
つまり、
同じ断熱等級6でも
気密性能の差が、光熱費の差として現れる
ということです。
これは「省エネ性能が良い」というより、
暮らしの中で“無理をしなくていい”状態に近い感覚です。

換気は「熱を捨てる」ものではない
もうひとつ、
ランニングコストに大きく関わるのが 換気の考え方です。
換気は、どんな家にも必要不可欠ですが、
- 熱をそのまま外へ捨てる換気
- 熱を回収しながら入れ替える換気
では、室温の安定性が大きく変わります。
熱交換型の換気を採用すると、
- 暖かさを保ったまま換気できる
- 室温が安定しやすい
- 暖房の追加運転が減る
結果として、
快適さを保ちながら、光熱費を抑えやすい家になります。

断熱+気密+換気で、はじめて“コスパの良い暖かさ”になる
断熱等級6やUA値は、
あたたかい家づくりの大切な土台です。
しかし、
- 気密性能が整っているか
- 換気で熱を守れているか
ここまで含めて考えることで、初めて、
「あたたかい」だけでなく
「無理なく続く、快適な暮らし」
につながります。
住み始めてから毎月かかる光熱費は、
家の性能の積み重ねの結果。
だからこそ、
断熱だけでなく、
気密と換気まで含めて考えることが大切なのです。

最後に|だからこそ「現場を見ること」が大切です
UA値や断熱等級、
気密性能や換気の考え方。
どれも、家づくりに欠かせない大切な判断材料です。
ただ――
それらは、図面や数字だけでは分かりきらない部分もあります。
- 廊下に立ったときの温度感
- 脱衣所に入った瞬間の空気
- 暖房を強くしなくても感じる心地よさ
こうした「本当の違い」は、
実際の建物に入ってみて、はじめて腑に落ちることがほとんどです。
断熱等級6かどうか。
UA値はいくつか。
それらを確認したうえで、
その性能が、実際の暮らしでどう感じられるのか
を確かめることが、
後悔しない家づくりにつながります。
家は、一度建てたら簡単にやり直せません。
だからこそ、
建てる前に「現場で体感する」ことを、ぜひ大切にしてください。