2026.01.28

断熱等級6なら安心?UA値で分かる家の暖かさ

「断熱等級6なら安心」…本当にそうでしょうか?

家づくりを調べていくと、
「断熱等級6」「高性能住宅」という言葉をよく目にします。

一方で、実際にご相談に来られる方の多くは、
こんな疑問を口にされます。

  • 「UA値0.34って、数字としては良さそうだけど、実際の暮らしはどうなんですか?」
  • 「UA値がどこまで下がれば、家中あたたかいんですか?」

断熱等級よりもUA値のほうが、感覚的に理解しやすい
と感じている方が増えているのです。

UA値は「断熱等級の中身」を表す数字

断熱等級6という言葉は、
実は UA値の範囲で決められています

例えば(地域によって多少前後しますが)

  • 断熱等級6
     → UA値 おおよそ 0.46以下

ここで大切なのは、

同じ「等級6」でも、UA値には幅がある

という点です。

UA値0.46の家と
UA値0.28の家は、
どちらも断熱等級6ですが、
熱の逃げにくさはまったく同じではありません。

「等級6でも寒い」と感じる理由は、UA値の“幅”

実際に、

  • 「断熱等級6と聞いていたのに、廊下が寒い」
  • 「リビングは暖かいけど、脱衣所がつらい」

という声は、少なくありません。

この違和感の正体は、
多くの場合 UA値の設定と、家全体の考え方にあります。

UA値は、

  • 壁・屋根・床・窓
    すべてを含めた 家全体の平均値

そのため、

  • 窓が弱い
  • 床や基礎の断熱が弱い
  • 施工精度に差がある

といった要素があると、
同じUA値でも体感に差が出るのです。

UA値は「机上の数字」でも、あいまいにしてはいけない

ここで誤解してほしくないのは、

UA値は意味がない
という話ではありません。

むしろ逆です。

UA値は、家づくりの判断にとても重要な数字です。

ただし、

  • 計算の前提がどうなっているか
  • どこまで厳しく設定しているか
  • 体感と結びつく説明がされているか

ここがあいまいなまま
「等級6だから大丈夫」と進んでしまうと、
住んでから違和感が出やすくなります。

省エネと「寒くない暮らし」は、必ずしも一致しない

UA値は、もともと
エネルギー消費を抑えるための指標です。

一方で、

  • 家の中に15℃未満の場所がどれくらいあるか
  • 廊下や脱衣所が冷え込まないか
  • 足元が冷えないか

といった部分は、
健康や快適性に直結する体感の話になります。

HEAT20の考え方では、
「15℃未満になる時間・場所の割合」が
とても重要視されています。

つまり、

UA値が基準を満たしていても
家のどこかが冷え込むなら
“暮らしとしては不十分”

というケースもあるのです。


UA値を見るときに、必ず一緒に考えてほしいこと

UA値を判断材料にするとき、
私たちは必ず次の3つをセットで考えています。

① UA値はいくつか(どこを目標にしているか)

  • 断熱等級6ギリギリなのか
  • 余裕をもたせた数値なのか

② 気密性能(C値)は実測しているか

UA値がいくら低くても、
すき間が多ければ体感は崩れます。

  • 全棟で気密測定をしているか
  • 数値を公開しているか

③ 換気で熱をどう扱っているか

  • 熱交換率はどれくらいか
  • 家全体に空気が回る設計か

「数字が読めるようになる」ことは、後悔しないための武器

UA値は、
難しい専門用語に見えるかもしれません。

でも、

  • 等級だけで判断しない
  • 数字の“幅”に気づく
  • 体感と結びつけて考える

これができるようになると、
家づくりの判断精度は一気に上がります。

勉強しなければならない、ではなく
「知っておいてよかった」と思える知識。

それがUA値だと、私たちは感じています。

断熱等級6は、確かに「あたたかい」

まず大前提として、
断熱等級6の住宅は、従来の住宅と比べて十分にあたたかい
という点は間違いありません。

  • 暖房を入れたときの立ち上がりが早い
  • 外の寒さの影響を受けにくい
  • 省エネ性能も高い

こうしたメリットがあるからこそ、
断熱等級6は「高性能住宅」の基準として広く使われています。

ただし──
ここで一歩踏み込んで考えてほしいのが、

その“あたたかさを、どれだけ効率よく保てているか”

という視点です。

あたたかさを「保つ力」が、ランニングコストを左右する

同じ断熱等級6の家でも、

  • 気密性能が高い家
  • 気密があいまいな家

では、住み始めてからの暮らしに違いが出てきます。

すき間が多い家では、
せっかく暖めた空気が、少しずつ外へ逃げてしまいます。

その結果、

  • 設定温度を上げがち
  • 暖房を切れない
  • LDK以外が寒くなりやすい

といった状態になり、
「あたたかいけれど、光熱費がかかる家」になりやすいのです。

気密性能が高いと、暖房は「がんばらなくていい」

気密性能(C値)が整っている家では、

  • 暖かい空気が逃げにくい
  • 冷たい外気が入りにくい

ため、
少ないエネルギーで室温を保ちやすくなります。

つまり、

同じ断熱等級6でも
気密性能の差が、光熱費の差として現れる

ということです。

これは「省エネ性能が良い」というより、
暮らしの中で“無理をしなくていい”状態に近い感覚です。

換気は「熱を捨てる」ものではない

もうひとつ、
ランニングコストに大きく関わるのが 換気の考え方です。

換気は、どんな家にも必要不可欠ですが、

  • 熱をそのまま外へ捨てる換気
  • 熱を回収しながら入れ替える換気

では、室温の安定性が大きく変わります。

熱交換型の換気を採用すると、

  • 暖かさを保ったまま換気できる
  • 室温が安定しやすい
  • 暖房の追加運転が減る

結果として、
快適さを保ちながら、光熱費を抑えやすい家になります。

断熱+気密+換気で、はじめて“コスパの良い暖かさ”になる

断熱等級6やUA値は、
あたたかい家づくりの大切な土台です。

しかし、

  • 気密性能が整っているか
  • 換気で熱を守れているか

ここまで含めて考えることで、初めて、

「あたたかい」だけでなく
「無理なく続く、快適な暮らし」

につながります。

住み始めてから毎月かかる光熱費は、
家の性能の積み重ねの結果

だからこそ、
断熱だけでなく、
気密と換気まで含めて考えることが大切なのです。

最後に|だからこそ「現場を見ること」が大切です

UA値や断熱等級、
気密性能や換気の考え方。

どれも、家づくりに欠かせない大切な判断材料です。
ただ――

それらは、図面や数字だけでは分かりきらない部分もあります。

  • 廊下に立ったときの温度感
  • 脱衣所に入った瞬間の空気
  • 暖房を強くしなくても感じる心地よさ

こうした「本当の違い」は、
実際の建物に入ってみて、はじめて腑に落ちることがほとんどです。

断熱等級6かどうか。
UA値はいくつか。
それらを確認したうえで、

その性能が、実際の暮らしでどう感じられるのか

を確かめることが、
後悔しない家づくりにつながります。

家は、一度建てたら簡単にやり直せません。
だからこそ、
建てる前に「現場で体感する」ことを、ぜひ大切にしてください。