2026.02.19

なぜ、窓の近くは寒いのか?断熱実験で見えた本当の理由

冬、窓の近くに立つとヒヤッとする理由

冬の朝。

エアコンはついているのに、
窓の近くに立つとヒヤッとする。

リビングは暖かいはずなのに、
足元がどこか冷たい。

そんな経験はありませんか?

多くの方は、

「エアコンの効きが弱いのかな?」
「部屋が広いから仕方ないのかな?」

と考えます。

でも実は、それは
暖房が弱いからではありません。

理由はもっとシンプルです。

👉 熱が逃げているから。

家の中の熱には、「逃げ道」があります。
そしてその逃げ道が整っていないと、
どれだけ暖房を入れても、足元や窓の近くは寒く感じるのです。

では、その「逃げ道」はどこなのでしょうか?

① 断熱実験で見えたこと

私たちの家づくり教室では、
断熱実験を行っています。

家づくり教室では、
熱の伝わり方を体感できる実験を行っています。

例えば、

・熱を通しやすい素材
・熱を通しにくい素材

を比べると、
手で触れたときの温度の伝わり方がまったく違います。

ここで見えてくるのは、

断熱材は特別な魔法の材料ではなく、
「空気を閉じ込めて、熱の移動をゆっくりにしている」
という事実です。

実験をすると、皆さん驚かれます。

「同じ温度でも、こんなに違うんですね」

ここで必ずお聞きします。

「家のどこから一番熱が逃げると思いますか?」

多くの方はこう答えます。

「壁ですか?」

確かに、家の外周で一番面積が大きいのは壁です。

でも、実際は――

② 壁より“窓”が熱を逃がしている

一般的な住宅では、
冬の熱損失の約50%前後が窓からと言われています。

半分です。

なぜでしょうか?

理由は構造にあります。

壁の中には断熱材が入っています。
空気層を閉じ込め、熱の移動を抑えています。

一方で窓はどうでしょうか?

ガラス一枚で、外とつながっています。

どれだけ壁を強化しても、
窓が弱ければ、そこから熱は逃げ続けます。

つまり――

👉 窓を変えないと、壁だけ強化しても意味が薄い。

これが、窓の近くが寒い本当の理由です。

③ ダブルLOW-Eガラスがなぜ効くのか

最近は「ダブルLOW-Eガラス」という言葉をよく聞きます。

では、なぜ暖かくなるのでしょうか?

ポイントは3つです。

1. LOW-E膜が熱を反射する

Lixil複層ガラスシリーズカタログ参照

LOW-Eとは「Low Emissivity(低放射)」の略。

ガラスに特殊な金属膜をコーティングし、
室内側の赤外線(熱)を反射します。

暖房の熱を外へ逃がしにくくする働きがあります。

2. 空気層が熱を伝えにくくする

ガラスが2枚になることで、
間に空気層が生まれます。

この空気層が、熱の移動を抑えます。

3. アルゴンガスの役割

空気よりも熱を伝えにくいアルゴンガスを入れることで、
さらに熱の移動を抑えます。

ここで大事なのは、

「ガラスを2枚にしたから暖かい」のではなく
熱の移動を抑えているから暖かい

ということです。

構造を理解すると、
「なんとなく暖かい」から「理屈で暖かい」へ変わります。

④ 吹き抜けが寒くない理由

よく聞く言葉があります。

「吹き抜けは寒いですよね?」

実は、吹き抜けが寒いのは
吹き抜けが悪いのではありません。

原因は主に3つです。

・断熱不足
・窓性能不足
・気密不足

熱は上に上がります。
窓が弱いと、そこからどんどん逃げます。

気密が弱いと、冷たい外気が入り込みます。

その結果、
上下温度差が大きくなり、寒く感じるのです。

でも、性能が整っている家ではどうでしょうか?

・温度差が小さい
・上下温度差が出にくい
・エアコン効率が落ちない

👉 「吹き抜けは寒い」は、性能不足の家の話です。

設計の問題ではなく、性能の問題なのです。

⑤ 断熱材と窓はセット

ここが本質です。

壁だけ強くても意味がない。
窓だけ強くても意味がない。

家はバケツのようなものです。

どこか一部が弱ければ、
そこから水(=熱)が漏れます。

そこで私たちは、
家全体のUA値で見ます。

UA値とは、
家全体の熱の逃げやすさを示す数値です。

窓・壁・屋根・床
すべてを含めたバランスです。

どこか一つを強化するのではなく、
全体のバランスを整える。

これが「家のキホン」です。

⑥ トリプルガラスでUA値0.46だと陥ること

ここは少しやさしく書きます。

「トリプルガラスだから安心」

そう思われる方も多いです。

確かにトリプルガラスは性能が高いです。

しかし、
トリプルを入れてもUA値が0.46ということは――

他の部分が弱い可能性があります。

・壁の断熱が弱い
・床や天井が弱い
・窓面積のバランスが悪い

つまり、

👉 窓だけ強化しても、家全体の熱損失は改善しきれない。

「トリプル=安心」ではありません。

大事なのは、

✔ 家全体のバランス
✔ 数字の中身
✔ 設計と施工の整合性

です。

結論|窓の近くが寒いのは暖房のせいではない

窓の近くが寒いのは、
エアコンのせいではありません。

熱の逃げ道を整えていないからです。

私たちは、

・断熱材
・窓
・気密
・換気

セットで考えます。

どれか一つではなく、
全体で整える。

それが、家のキホンだからです。

冬に窓の近くでヒヤッとしない。
だから、お子さんが窓辺に行って嫌な顔をしなくて済む。
リビングと窓の温度差で生じた結露を拭く手間が大幅に減るり、家事の時短につながる。

それは偶然ではなく、
設計と性能の積み重ねです。

そしてそれは、
建てる前に選べることです。