冬、窓の近くに立つとヒヤッとする理由
冬の朝。
エアコンはついているのに、
窓の近くに立つとヒヤッとする。

リビングは暖かいはずなのに、
足元がどこか冷たい。

そんな経験はありませんか?
多くの方は、
「エアコンの効きが弱いのかな?」
「部屋が広いから仕方ないのかな?」
と考えます。
でも実は、それは
暖房が弱いからではありません。
理由はもっとシンプルです。
👉 熱が逃げているから。
家の中の熱には、「逃げ道」があります。
そしてその逃げ道が整っていないと、
どれだけ暖房を入れても、足元や窓の近くは寒く感じるのです。
では、その「逃げ道」はどこなのでしょうか?
① 断熱実験で見えたこと
私たちの家づくり教室では、
断熱実験を行っています。
家づくり教室では、
熱の伝わり方を体感できる実験を行っています。
例えば、
・熱を通しやすい素材
・熱を通しにくい素材
を比べると、
手で触れたときの温度の伝わり方がまったく違います。
ここで見えてくるのは、
断熱材は特別な魔法の材料ではなく、
「空気を閉じ込めて、熱の移動をゆっくりにしている」
という事実です。
実験をすると、皆さん驚かれます。
「同じ温度でも、こんなに違うんですね」
ここで必ずお聞きします。
「家のどこから一番熱が逃げると思いますか?」
多くの方はこう答えます。
「壁ですか?」
確かに、家の外周で一番面積が大きいのは壁です。
でも、実際は――
② 壁より“窓”が熱を逃がしている
一般的な住宅では、
冬の熱損失の約50%前後が窓からと言われています。

半分です。
なぜでしょうか?
理由は構造にあります。
壁の中には断熱材が入っています。
空気層を閉じ込め、熱の移動を抑えています。
一方で窓はどうでしょうか?
ガラス一枚で、外とつながっています。
どれだけ壁を強化しても、
窓が弱ければ、そこから熱は逃げ続けます。
つまり――
👉 窓を変えないと、壁だけ強化しても意味が薄い。
これが、窓の近くが寒い本当の理由です。
③ ダブルLOW-Eガラスがなぜ効くのか
最近は「ダブルLOW-Eガラス」という言葉をよく聞きます。
では、なぜ暖かくなるのでしょうか?
ポイントは3つです。
1. LOW-E膜が熱を反射する

LOW-Eとは「Low Emissivity(低放射)」の略。
ガラスに特殊な金属膜をコーティングし、
室内側の赤外線(熱)を反射します。
暖房の熱を外へ逃がしにくくする働きがあります。
2. 空気層が熱を伝えにくくする
ガラスが2枚になることで、
間に空気層が生まれます。
この空気層が、熱の移動を抑えます。
3. アルゴンガスの役割
空気よりも熱を伝えにくいアルゴンガスを入れることで、
さらに熱の移動を抑えます。
ここで大事なのは、
「ガラスを2枚にしたから暖かい」のではなく
熱の移動を抑えているから暖かい
ということです。
構造を理解すると、
「なんとなく暖かい」から「理屈で暖かい」へ変わります。
④ 吹き抜けが寒くない理由
よく聞く言葉があります。
「吹き抜けは寒いですよね?」
実は、吹き抜けが寒いのは
吹き抜けが悪いのではありません。
原因は主に3つです。
・断熱不足
・窓性能不足
・気密不足
熱は上に上がります。
窓が弱いと、そこからどんどん逃げます。
気密が弱いと、冷たい外気が入り込みます。
その結果、
上下温度差が大きくなり、寒く感じるのです。

でも、性能が整っている家ではどうでしょうか?
・温度差が小さい
・上下温度差が出にくい
・エアコン効率が落ちない
👉 「吹き抜けは寒い」は、性能不足の家の話です。
設計の問題ではなく、性能の問題なのです。
⑤ 断熱材と窓はセット
ここが本質です。
壁だけ強くても意味がない。
窓だけ強くても意味がない。
家はバケツのようなものです。
どこか一部が弱ければ、
そこから水(=熱)が漏れます。

そこで私たちは、
家全体のUA値で見ます。
UA値とは、
家全体の熱の逃げやすさを示す数値です。
窓・壁・屋根・床
すべてを含めたバランスです。
どこか一つを強化するのではなく、
全体のバランスを整える。
これが「家のキホン」です。
⑥ トリプルガラスでUA値0.46だと陥ること
ここは少しやさしく書きます。
「トリプルガラスだから安心」
そう思われる方も多いです。
確かにトリプルガラスは性能が高いです。
しかし、
トリプルを入れてもUA値が0.46ということは――
他の部分が弱い可能性があります。
・壁の断熱が弱い
・床や天井が弱い
・窓面積のバランスが悪い
つまり、
👉 窓だけ強化しても、家全体の熱損失は改善しきれない。
「トリプル=安心」ではありません。
大事なのは、
✔ 家全体のバランス
✔ 数字の中身
✔ 設計と施工の整合性
です。
結論|窓の近くが寒いのは暖房のせいではない
窓の近くが寒いのは、
エアコンのせいではありません。
熱の逃げ道を整えていないからです。
私たちは、
・断熱材
・窓
・気密
・換気
をセットで考えます。
どれか一つではなく、
全体で整える。
それが、家のキホンだからです。
冬に窓の近くでヒヤッとしない。
だから、お子さんが窓辺に行って嫌な顔をしなくて済む。
リビングと窓の温度差で生じた結露を拭く手間が大幅に減るり、家事の時短につながる。
それは偶然ではなく、
設計と性能の積み重ねです。
そしてそれは、
建てる前に選べることです。