皆様、こんにちわ。
弊社は石川県小松市を拠点に小松市,能美市,加賀市を中心に
「全棟気密検査実施 、 断熱性能UA値=0.34W/(㎡・K)以下 、気密性 C値=0.1c㎡/㎡、耐震等級3の住宅」を設計・施工させて頂いている工務店です。
昔と現在の住宅の外観デザインについて皆様どう思われますか?
以下の2つの写真をご覧ください。
私は現在の住宅はとてもスタイリッシュな印象を受けます。最近このようなスッキリした住宅がトレンドであり人気になっています。
ではこのスッキリ感はどこから来るのでしょうか?
私は「軒がない」ことが一番の理由に挙げられると思います。
軒とは
軒とはこの部分です。建築に詳しくない方でも「軒下」や「軒先」という言葉を聞いたことがあるんではないでしょうか?
軒とは屋根が建物よりも出っ張っている箇所のことで,建物の傘の意味合いがあります。傘は大きければ人は雨に濡れにくく,日射からも身を守ることができます。反対に傘が小さければ人は雨も日射も当たりにやすくなります。
建物も同じことが言えます。つまり軒とは建物自体を雨や日射から守る働きがあるのです。
日本の歴史的建築物は軒樋が深い
ちなみに世界の国々の建物を見ても雨量の多い地域は軒は深く(長い),雨量の少ない地域は軒は浅く(短い)傾向があります。世界から見ても日本も雨の多い地域です。ですので,日本の歴史的建造物は軒が深いのです。
建築業界に携わることで改めて先人の知恵や技術の偉大さに気づかされます。
軒の意味
軒を出すことでのメリットを以下にまとめました。
・建物に雨が当たりにくくなり,建物の寿命を延ばすことができる
・太陽高度が高い夏の日差しを遮熱し,太陽高度が低い冬の日差しを室内に取り込み快適な温度環境を作る
・屋根裏への雨の吹込みによる雨漏りの可能性が低くなる
軒ゼロ住宅のトレンド
最近はこのようなキューブ型の軒をなくした軒ゼロ住宅が増えてきています。見た目にも素敵な住宅ですが,軒のない選択肢が将来どのような影響をもたらすのでしょうか?
先ほどもお話しましたが,日本は雨量の多い地域。ともすれば,軒がなく,雨にかかることが多くなれば,確実に外壁の汚れや劣化のスピードはかなり速まります。
軒ゼロ住宅の場合は外壁の種類に注意
私は決して軒ゼロ住宅反対派ではございません。
自宅も一部軒ゼロの箇所があります。
重要なのは軒ゼロにする場合,耐久性の低い外壁は選ばないことです。以下が軒ゼロ住宅におススメしない外壁材になります。
【窯業系サイディング】
窯業系サイディングは原料の約80%がセメントで残りの20%繊維質・増量材で作られています。木目調,レンガ調,タイル調などデザインが豊富と比較的安価な商材のため,国内の新築住宅では近年最も多く伝われています。
しかし,7~10年でメンテナンスが必要になります。具体的には再度足場を組んで塗装やコーキングの打替え工事。また上から別の外壁材を張ることも対処方法です。
以下がよくある窯業系サイディングの劣化の写真です。
このように外壁自体が劣化すると,水を吸うため劣化スピードは速まります。また外壁材と外壁材を繋ぐ箇所はコーキングのため,コーキングが切れたら同様に外壁内に水が浸入します。
先程メンテナンス7~10年でメンテナンスとお伝えしましたが,軒ゼロ住宅になると,雨かかりが多くなるため,メンテナンス時期が早まる可能性は高いです。
【吹付塗装や左官仕上げの外壁】
最近人気なのが,窯業系の無塗装サイディングの上に現場で吹付や左官で仕上げた外壁です。
吹付仕上げの外壁ではリシンの吹付が有名ですが,これはコーキングを行ってから上に吹付を行います。
また,左官仕上げの外壁ですと,最近はジョリパッドが人気で外壁同士のすき間にはコーキングは打たず施工します。
どちらの仕上げも窯業系サイディング仕上げよりはメンテナンス時期は何年か遅くなる印象です。
しかし,やはり軒ゼロ住宅にする場合は窯業系サイディングと同様に劣化は速まる可能性は高くなります。
新築当初のホワイトの塗装や左官の外壁は本当に素敵です。しかし,何年か後に外壁の汚れが目立ってきます。皆様の近所の住宅街でもよく目にする光景ではないでしょうか?この様子を見て残念な気持ちになるのは私だけではないはずです。
弊社がご提案で気を付けている点
弊社は「永くそこに快適に住んで頂く」ことを一番大切に考えて家づくりをご提案させて頂いています。ですので,将来のメンテナンスを極力少なくて住む素材や設計のご提案を心がけています。
【吹付や左官仕上げの外壁を取り入れる場合】
もちろん弊社も吹付やジョリパットはお客様にはご提案させて頂きます。しかし,その際は極力軒を出すように設計を考えます。
こちらは弊社のお客様の事例です。1階がリシン吹付仕上げ外壁で軒を約700mm出しています。そうすることで,外壁の寿命が長くなります。
【軒ゼロを取り入れる場合】
同じく弊社も軒ゼロの設計提案もさせて頂きます。その際は外壁の素材に注意します。以下に弊社がよく提案させて頂く外壁素材について書かせて頂きます。
<ガルバニウム鋼板>
軒ゼロの場合,弊社のお客様で最も取り入れる素材はガルバニウム鋼板素材です。いわゆる金属系素材で昔はトタンなどと呼ばれていました。現在,品質の向上により耐用年数は25~35年です。比較的安価で縦張りや横張りなどいくつかの種類があります。
ガルバニウム鋼板は軒ゼロは相性が良いです。ガルバニウム鋼板の外壁の場合はわざと軒ゼロ設計にして,壁に雨が当たる範囲を増やします。そうすることで外壁についた黄砂や花粉などの汚れを雨で落としやすくするメリットがあります。
<タイル外壁>
タイル外壁は非常に耐久性が高く,約40年の耐用年数があります。日常水をかけるくらいのほぼメンテナンスフリーで長持ちすることもメリット。デメリットとすれば金額が高いこと。職人さんが1枚1枚張っていくので手間暇がかかります。
まとめ
今回は軒から考える住宅デザインについて書かせて頂きました。
住宅の外観を決めていく際は「かっこいい」だけで決めていくと後のメンテナンス費用が早い時期に多くかかることがご理解頂けたのではないでしょうか?
軒ゼロにする場合の注意点や吹付や左官仕上げの外壁を活用する場合の注意点など,皆様がこれから住宅を建てる際の何かしらのプラスになってくださると幸いです。
私たちはアイラシックホームは石川県小松市に拠点を構える「本物で快適な高気密高断熱住宅を創る小さな工務店」です。住宅を建てるにあたって疑問なことがあればなんなりとお気軽に「お問合せフォーム」からご質問ください。
それでは本日もありがとうございました。